男性にとって関心が高い話題のひとつ、薄毛。
この薄毛は「てっぺんハゲ」と「おでこハゲ」とにわかれます。それぞれ薄毛の原因が異なり、先天的要因と後天的要因とに分かれるのです。
今回は薄毛の原因とその対処法について西洋医学的なお話と、東洋医学的なお話を交えてご紹介します。
おでこハゲ
おでこが広がり、髪の生え際が後退していくおでこタイプは、遺伝要因が関与。
男性ホルモンの一種、ジヒドロテストステロンが活性化することで薄毛遺伝子が発現。
ストレスで頭皮=帽状腱膜が硬くなると薄毛が進行
帽状腱膜とは、前頭部から後頭部にかけて、帽子をかぶっているような状態で存在している膜のことです。
頭皮の指圧をすると、ふさふさの方は頭皮が柔らかく動くのですが、薄毛の方はほとんど動かず、頭皮が硬いです。
そうすると毛根が入っている皮下組織に血液が流れにくくなり、毛根細胞のエネルギーが不足して新しい髪の毛を産生できなくなり、脱毛が促進します。
また、ジヒドロテストロンが優位な状態だと攻撃性が増し、イライラしやすい性格につながるります。
プロゲステロンはジヒドロテストステロンの作用に拮抗する
副腎皮質から分泌される性ホルモン・プロゲステロンの分泌がしっかりしていることでジヒドロテストステロンの活性が抑えられます。
過労、ストレス、アレルギー、風邪、怪我などで副腎皮質が消耗することでプロゲステロンの分泌が減少します。
対処法①生活習慣
- 「おでこハゲ」の方はストレス解消、十分な休息をとる、感謝の気持ちをもつ、瞑想するなどイライラをコントロールする術を見につける必要があります。
- マグネシウム、ビタミンC・B5は副腎疲労(東洋医学的表現では「腎虚」)に効果的なので、これら栄養素の摂取を心がけましょう。
- カフェインや糖質の過剰摂取も腎虚の原因となるので控えましょう。
対処法②セルフマッサージ
髪の生え際だけでなく眉から前頭部にかけて広がる前頭筋をイメージしてマッサージしましょう。
眉間にシワが寄る表情をとると前頭筋が緊張するので、おでこハゲの肩はイライラ対策と合わせて眼精疲労も対策しましょう。
目を酷使したりPC作業をしたりする場合、目の周辺のマッサージもプラスしたり、首の後ろにある風池(ふうち)というツボのマッサージをすると効果的。
対処法③鍼灸治療
鍼灸治療は腎虚治療が得意な療法♪
疲労回復、ストレス解消、アレルギー体質の改善、免疫力アップが可能!
また鍼灸には血流促進作用もあるので、首肩こりを解消し、頭皮の血行を促進して毛母細胞にエネルギー供給できる状態を作ります。
てっぺんハゲ
てっぺんハゲは、ライフスタイルの乱れのような外的要因から来るタイプ。
東洋医学的表現では瘀血(おけつ=汚れた血液、不要な血液)が頭部にあり、綺麗な血液のめぐり低下が原因。
正常な頭皮は青白いのですが、瘀血が貯まっていると赤茶色に見え、このような状態になると薄毛が進行します。
このタイプの方は指圧で頭皮を触るとぶよぶよむくみがあります。
生活習慣の乱れだけでなく、悩みがちな方も瘀血が貯まりやすいので要注意。
不要な血液がたまっていることで新しい血液が来づらくなります。
対処法①生活習慣
- 首肩こりをマッサージにより解消して、頭部全体の血流がよくなるようにします。
- 血流をよくする…入浴、運動、血流を良くする食べ物(温かい食べ物、ショウガなど)を摂取する
- 血液が汚れるような原因(食事・便秘)を避ける…肉、加工食品、お菓子などを避け、便秘にならないように食物繊維を摂取する。
- 血液が綺麗になる食べ物を摂る…お味噌、梅、しょうゆ、海藻、根菜類など。和食は血液をきれいにして体を温める食材が豊富
対処法②セルフマッサージ
てっぺんハゲは頭部全体の血流が低下しています。
頭部のマッサージをする前に、首肩こりを解消しましょう。
後ろの髪の際に天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)といった肩こり解消や眼の疲れ疲労解消に効果的なツボがあります。
肩の上の肩井(けんせい)も肩こり解消に効果的。
対処法③鍼灸治療
瘀血の解消に、まずは首肩こりの解消、頭部の血流を良くすることが大事です。
セルフケアとして血液を綺麗にするように心がけるのと同様、治療でも本質的に大事なことは、デトックスです。便秘解消、お小水の出を良くする、汗をかきやすくする、肝臓・腎臓の機能を強化するといった体質改善をおこないます。
おでこハゲもてっぺんハゲも、活性酸素に注意
髪の毛は、成長期、退行期、休止期というサイクルで年単位で生え変わります。
先天的要因にせよ、後天的要因にせよ、生活の乱れやストレスなどが血行不良などで毛母細胞を作り出す毛乳頭に酸素や栄養を送り届ける血液が乏しくなっては、薄毛や髪の毛の細りの原因となります。
健康的な髪の毛のために、血流改善や生活習慣の見直しをするコトが大切です。
しかし、気をつけることは他にもあります。
活性酸素に頭皮や髪の毛もさらされる
血液内の白血球が体を守る免疫細胞として働いています。
その構成の一部に顆粒球とリンパ球がいますが、顆粒球は60%、リンパ球は35%存在するのが理想とされています。
この顆粒球とは、外的(細菌など)から身を守るための免疫細胞ですが、役目を終えて死ぬとき、大量の活性酸素を発生します。
この顆粒球はストレスを感じているときにも増え、活性酸素が過剰になると、体のあらゆる細胞が酸化ストレスにさらされますが、頭皮や髪も例外ではありません。
それにより、髪や頭皮に酸化ストレスがかかります。
そうすると、抜け毛に加えて、皮脂の分泌が低下することで髪がパサパサしたりツヤがなくなったりします。
最近、髪の毛が抜けやすくなった、短い毛が目立つようになった、髪のパサつく、髪が細くなってきた。
そんな方は、もしかしたら顆粒球が増えているのかもしれません。
鍼灸で血行改善と酸化ストレス対策を
鍼灸には活性酸素の発生を抑える=酸化ストレスを軽減する効果があります。
髪の毛が邪魔で頭皮に直接お灸をするのはちょっと面倒なのですが、髪の毛にとっては良い効果があり、気持ちが良いです。
頭だけでなく、薄毛の根本対策として肩こり、腰痛、慢性疲労、ストレス、血行不良などあらゆる全身症状を治療することが大切です。
男性の育毛にも鍼灸が効果的
男性の薄毛・抜け毛の一番の原因は遺伝 です。
育毛剤を使う方も多いですが、育毛剤の効果として、
- 男性ホルモンを抑える(遺伝的タイプ)
- 頭部の血流改善
です。
1.に関しては頭頂部型の薄毛に効果的と言われますが、長期的に使うことで男性不妊 の原因になると指摘されています。
2.に関しては、頭部の血流改善をするために心拍出を強くする=心臓にトラブルが起きる副作用があります。
しかも発がんの恐れがあると指摘されるものもあるので、治療院の患者さんで使っている方がいると、正直オススメできません。
遺伝的要因を加速する後天的要因 がありますが、鍼灸治療や生活指導で、予防することができますし、頭部の血流改善も大得意!です。
育毛材で大きな効果が得られなくても男性患者さんは「現状維持でいいんです」 とおっしゃるんですね。
現状維持でよければ、鍼灸治療で安全に血流を改善して、全身調整したほうがずっといいんじゃないでしょうか。
お灸に育毛効果がある!
『マウス体毛の発育に対する灸刺激の効果』
というお灸の育毛効果を確認した実験があります。
鍼も灸も、体の内側に働きかけ、生体を活性化します。
灸の温熱刺激によって, 皮膚局所の血管に変化が起きます。
つまり
- 体が温まることで、血管が拡張する
- 同時に細静脈の血管透過性が亢進する
1.と2.の結果、 局所的な代謝促進効果が認められる☞ならば、育毛効果って期待できるよね。
・・・というのは、かつては推測の域だったんですが、局所温熱刺激による血管拡張作用の代謝促進効果をラットの毛で調べた実験があるのでご紹介します。
実験
評価方法:育毛の成長, 毛根の組織像の変化によって毛根の代謝促進効果を評価。
実験動物:休止期毛を有する雄マウス(6週齢のCH3/HeNCrJ系ラット)。
灸刺激:温筒灸
方法:背部の毛を約8cm2を剃毛し、その部の中央に1週間に灸を2回行った。
結果:灸刺激によって以下の効果が認められた。
↓↓↓
- 血管を長時間拡張させた
- 毛包細胞を増加させた
- マウスの育毛を促進した
マウスの育毛を促進=既存の毛を育てること
ですが、それだけでなく、
毛母細胞の増加=新たに毛が生える可能性もある
ということです!
人間も、有毛という点ではラットと共通なのでこの研究結果は人間にも同様の効果が期待できます。
この研究結果が示される以前より、鍼灸治療では円形脱毛症の治療のために頭部に施灸しております^^
治療の際の注意点
いきなり頭部に灸をするのはNG
治療のコツとして
- のぼせないように足元へ血液を誘導する処置をとる
- 肩こり改善のために腕にお灸をする⇒これも頭部の血流を良くする方法として有効
といったことが挙げられます。
ここを気をつければ特に問題なく頭部にお灸できます。
お灸以外に頭部の血流をよくするためにできること
- 運動する
- お風呂に入る
- 頭皮マッサージをする
こんなことも頭皮の皮膚血流をアップして、毛母細胞に血液を送り育毛を促進します。
ということで、髪を大切にしたい、豊かにしたい方はお灸ケアに注目~。
リー○21、リアッ○、○ロペシアより鍼灸でしょ!
鍼灸で髪の毛が生える?と眉唾扱いされていた時代は終わった!
ということで、生えるからね!
過去、鍼灸治療を受けていた60代の歳の男性は、リー〇21に年間200万円投資していたそうですが、育毛効果を期待して頭に鍼を始めてから行きつけの床屋さんで「あれ、髪の毛、増えました?」と声を掛けられた!と喜んでいました。
その金額、鍼灸に投資しよう!
髪の毛だけじゃない。
体も心も脳も、すべてが整うんだ!
そして、リ○ップってありますよね。
は頭皮の血行を促進させ育毛を期待するものですが、元々心臓病の薬として開発されていた経緯があり、血流改善する反面、心臓に負担をかけます。
担当の患者さんも一度心不全を起こし入院されています。
また飲み薬のプ○ペシアは男性ホルモンが活性化するのを押さえるので、EDや男性不妊になる副作用があります。
男性も女性も甲状腺機能が低下してくると抜け毛が増える傾向があります。
東洋医学では、おでこの幅は、眉から前髪際までを三寸(指4本分の幅)とします。
自分のおでこを見たら、指一本分は前髪極が後退している!と気づいたので、全力で鍼灸で髪を復活させる所存です、はい。
— 原口 ひろみ (@harahiro0501) May 16, 2016
東洋医学で薄毛・抜け毛・育毛・美髪に大切なのは「血」と「腎」
鍼灸の適応症として、円形脱毛症に効果的であるとWHO(世界保健機関)に認められています。
円形脱毛症までいかずとも、薄毛、髪が抜けやすくなった、細くなった、というヘアトラブルが起きている方が増えています。
東洋医学では「髪は血余」「腎の華」といい、血や腎の機能と関連が深いところであると考えます。<なので、「血虚」という血が不足した状態は薄毛を招くと考えます。
貧血とは違い、正常な機能を持った血が乏しいという考え方です。
血虚の症状として、ほか、
✔️肌が粉を吹くように乾燥する
✔️髪がパサパサになる
✔️爪が二枚に剥がれる
✔️あと生理前とか終わりに頭痛がする
こんなことがあります。
補血に適した食材
黒豆、黒ゴマ、クロキクラゲ、牡蠣、レバーのような黒い食材がオススメ。
動物由来のもののほうがより早く血を補えますが、胃腸弱い人は黒ごま、黒豆といった植物性のものから食べ始めましょう。
そして、東洋医学で血は、飲食物から作られるのと、腎に蓄えられている精から作られる2系統あります。
小さい頃から血虚の症状が出てるって人は、血を作る五臓の「脾」が弱いのか、五臓の「腎」が先天的に弱い人。
血虚の症状が出ている状態だと、食事オンリーで改善は難しいので、食事はあくまでも補助か予防と考えてください。
というわけで、鍼灸治療と併用して、早めにご相談くださいませー!
抜け毛・薄毛は女性も悩む
薄毛の悩みといえば、男性特有の悩みかと思いきや、実は女性も悩むって知っていましたか?
東京では多忙な女性も多いですが、抜け毛を主訴として鍼灸院に来院する女性もいます。
髪を大切にする女性にも美髪鍼を受けていただきたいですね。
男性の育毛・抜け毛・薄毛にも頭だけに鍼をしても、血流改善効果が期待できますが、抜け毛や薄毛の原因が頭部にあるとは限らないため、表面的な現象にとらわれず、根本原因にアプローチする全身治療が最重要です。
頭部だけでなく全身的に治療するとより効果的です。
抜け毛の原因は様々
ストレス、血行不良、冷え、首こり、肩こり、顔のコリ、頭のコリ、アレルギー性皮膚炎、栄養の不足・偏り、食品添加物、間違ったヘア用品・経費毒
こんなふうに数限りなくあるので、少しずつ、できるところから減らしていきましょう。
というわけで、食生活や生活の見直しを図りつつ、育毛・美髪効果が期待できる鍼灸治療を受けてみてはどうでしょうか。
女性も薄毛に悩む(ホルモン分泌異常が多いですけど)のですが、最近は女性の薄毛治療に入っています。たまに男性の薄毛治療もやってます。
育毛剤を使うと、結局は副作用で問題が起きてしまうので、安全な鍼灸で体全体のケアをしながら頭皮の血行を良くすればいいのに…と思います。
— 原口 ひろみ (@harahiro0501) November 3, 2015
血行促進、ホルモンバランス調整は鍼灸が得意とする分野ですよ!
鍼灸臨床では昔から育毛効果が確認されていますので気になる方は治療院の先生に「頭もお願いします」と伝えてくださいね。